読書日記4冊目 岸見一郎 古賀史健 「嫌われる勇気」 要約 解説

読書

この本は、「アドラー心理学」を青年と哲人の対話形式によって書かれた本です。

青年は我々読者に近い考えを持っており、様々な質問・疑問を哲人に投げかけます。

哲人はそれに対し、アドラー心理学ではこのように考え、行動する。と青年に伝えます。

この本、一冊でアドラー心理学について学ぶことができ、さらに読んですぐに取り入れることができます。

それでは早速、この本の解説をしていきます。

アドラー心理学の概要

まず、そもそもアドラー心理学ってなんなの?と思う方もいらっしゃると思うので、簡単に紹介します。

アドラー心理学は、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが提唱した心理学で、

欧米では、フロイト、ユングと並んで三大巨頭として評価されています。

アドラー心理学、一言でいえば、

幸せになるには

を追求した心理学です。

では、幸せになるには具体的に何をすればいいのでしょうか。また、どのような心持ちでいたらいいのでしょうか。

目次

  1. 原因論と目的論
  2. 変えることのできるライフスタイル
  3. すべての悩みは「対人関係の悩み」である
  4. 「劣等感」と「劣等コンプレックス」
  5. 人生のタスク
  6. 人生は誰のものか
  7. 自由とは何か
  8. 共同体感覚
  9. 「縦の関係」ではなく「横の関係」
  10. 「いま、ここ」に生きる

原因論と目的論

アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考えます。

自室に引きこもっている男性。

「自分を変えたい」と思っているが中々外に出られない男性。

原因論で考えると、過去になんらかのトラウマがあり結果として彼は外に出られなくなった。

僕自身もそう考えると思います。

しかし目的論、つまりアドラー心理学では「外に出たくないから、不安という感情をつくりだしている」というのです。

つまり、「外に出たくない」という目的があり、それを達成する手段として不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。

これが「目的論」です。

そして、アドラー心理学では、原因論の「トラウマ」を否定しています。

例えば、大きな災害に見舞われたとか、幼いころに虐待を受けたといった出来事が、人格形成に及ぼす影響がゼロとは言えないが、それによって何かが決定するわけではない。といいます。

つまり、人生とは誰かに与えられるのではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。

変えることのできるライフスタイル

「わたしは悲観的な性格だ」と思い込んでいる人がいたとしましょう。

その言葉を「わたしは悲観的世界観を持っている」と言い換えてみました。

性格という言葉には、変えられないものだというニュアンスがあるかもしれませんが、世界観なら変えることができそうです。

この、その人が世界をどう見るか。また、自分をどう見るかということをアドラー心理学では、

ライフスタイルといいます。

そして、そのライフスタイルは自ら選んだものだと言います。自分で選んだのですから、当然変えることも可能なのです。

「自分は不幸な人間だ」とか「別人に変わりたい」と思っている人はたくさんいます。

ではなぜ変われずにいるのか?

それは、自分のライフスタイルを変えずにいようと決心しているからです。

新しいライフスタイルを選ぶと未来が見えず、不安がたくさんあるので結局このままの方が楽なのです。それでも変える人がいます。

その人には「勇気」があるだけです。

すべての悩みは「対人関係の悩み」である

上の図をご覧ください。彼の悩みは一見、彼の個人的な悩みに思えます。

しかしこの悩み。他者がいないとそもそも成り立ちませんよね。

だって、他者との比較があって初めて自分の身長は小さいと分かるのですから。

ここで大事なのは、その身長について自分自身がどのような意味づけをし、どのような価値を与えるかなのです。

この勝手な思い込み、主観的解釈は自分次第で価値の転換ができるのです。

ですから、上の図のように肯定的に捉えるか。それとも否定的に捉えるか。どうせ思い込むなら前者のほうがよくないですか?

さて、もう一例。

上の図の意味、分かりますか?

高価なダイヤモンドも見ようによっては石ころなのです。

つまり、価値というのは社会的な文脈の上で成立しているのです。

まとめると、世の中に誰も存在していなければ、悩みは起きません。比較するものがないからです。

つまり、 すべての悩みは「対人関係の悩み」である といえるのです。

「劣等感」と「劣等コンプレックス」

上の二つの劣等感。一見同じに思えますが、実は違うのです。

右側が一般的な「劣等感」。これは使い方さえ間違えなければ、努力や成長を促すきっかけにもなるもので、この時は「他者との比較」ではなく「理想の自分との比較」を行なっています。

一方、左側は「劣等コンプレックス」というもので、自らの劣等感を言い訳にし始めた状態のことを指します。

「Aであるから、Bできない」と考えることです。

具体的には、「わたしは学歴が低いから、成功できない」などです。

これをアドラー心理学で考えると「成功できない」のではなく、「成功したくない」のです。

一歩前に踏み出すのが怖い。また、現実的な努力をしたくない。つまり、今の楽なままでいたいと思うのです。

この二つの思考を分けるのは、「勇気」なのです。

アドラー心理学において「勇気」というのはとても大切なのが分かりますね。

もう一つ大切なのは、「誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩く」ということです。

今の自分より前に進もうとすることに、価値があるのです。

人生のタスク

ひとりの個人が、社会的な存在として生きていこうとするとき、直面せざるをえない対人関係。

これが、「人生のタスク」です。

「仕事のタスク」、「交友のタスク」、「愛のタスク」の三つがあります。

このタスクを乗り越えると、アドラー心理学の目標である

  • 自立すること
  • 社会と調和して暮らせること
  • わたしには能力がある、という意識
  • 人々はわたしの仲間である、という意識

を達成することができると述べています。

人生は誰のものか

突然ですが、質問です。

あなたは今、職場でゴミ拾いをしています。周囲の人々は全く気付いていない。あるいは気付いたとしても誰からも感謝されない。

この状況でゴミ拾いを続けますか?

大半の人は「ノー」と答えるでしょう。これは皆さんが受けてきた教育に問題があります。

適切な行動を取れば褒められ、不適切な行動を取れば罰せられる。

褒めてもらいたいという目的があり、ゴミを拾う。だから、褒められなければやめる。

こんな理屈です。

ここで言いたいのは、「我々は、他者の期待を満たすために生きているわけではない」ということです。

他者ばかり気にしていていると他者の人生を生きることになります。

アドラー心理学では、他者は他者、自分は自分である。と完全に分離する考えを持っています。

自由とは何か

結論から言います。

自由=他者から嫌われること

他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもというコストを支払わない限り、自分の生き方を貫くことはできない。と言います。

とは言っても嫌われることをしろと言っているわけではなく、ただ課題の分離をしっかり行なうということです。

あなたをよく思わない人がいても、それは他者の問題であり、あなたの問題ではないのです。

馬を水辺に連れていくことはできても、水を呑ますことはできません。

坂道を転がるのではなく、眼前の坂を登るように生きる。それが人間にとっての自由なのです。

共同体感覚

共同体感覚。これは、アドラー心理学のキー概念でもあり、最も議論の分かれるところでもあります。

共同体感覚=他者を仲間と見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられること

この共同体の中身が、家庭や学校、社会だけでなく、過去から未来そして宇宙全体をも含むというのです。

宇宙全体?意味が分かりませんよね。意味が理解できないから議論が分かれてしまうのです。

我々はこの共同体の一部であるから、自分が世界の中心と考えてはいけないのです。

皆がわたしに何をしてくれるか?ではなく、わたしが皆に何を与えられるか?を考える必要があるんのです。

「縦の関係」ではなく「横の関係」

「横の関係」とは一言でいうと互いを対等に思って接するということです。

「横の関係」を築くにあたって大切なのは、相手を褒めてはいけないということです。

褒めるという言葉は「能力のある人が、能力のない人に使う」ものなのです。

つまり褒めるということは、相手を無意識のうちに下に見てしまっているのです。

ではどのように他者へアプローチすればよいのでしょうか。

そのアプローチの仕方は「勇気づけ」と呼ばれるものです。

「勇気づけ」で最も大切なことは、他者を評価しないということです。

「横の関係」を築けていたら感謝や尊敬、喜びの言葉が出てくるのだと言います。

言われた方は、「他者に貢献できた」と自分に価値を見い出すことができます。

「いま、ここ」に生きる

人生とは、連続する刹那である。

過去にどんなことがあったかや、未来がどうであるかを考え、物語を作るのではなく、「いま、ここ」だけを真剣に生きるべきなのです。

もし、「いま、ここ」だけを生きているのなら過去も未来も見えないというのです。

大きなステージで自分だけに強烈なスポットライトを当てられたことを想像してください。

最前列すら見えないはずです。「いま、ここ」に生きるとはそういうことです。

しかし、路頭に迷うこともあるでしょう。その時は「導きの星」である「他者貢献」を思い出すのです。これさえ見失わなければ、迷うことはないし、何をしてもいいと言うのです。

まとめ

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「嫌われる勇気」をなるべくわかりやすく、重要な部分をピックアップして解説しました。

僕はこの本を読んで、アドラー心理学の存在を知りましたが、とても分かりやすくかつシンプルで参考になる考え方がたくさんありました。

アドラー心理学のキー部分である、「他者は他者、自分は自分」

この部分の内容は自分と重ねやすく、共感できることもたくさんあり面白かったです。

「嫌われる勇気」の続編ともいえる「幸せになる勇気」も読んでみたいと思いました。

長らく、ご覧いただきありがとうございました。

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